iPhone 6s から Pixel 7 に乗り換えて、7年分のスマホの進化を実感した
投稿: 2023年5月21日 (最終更新: 2024年2月11日) • 11 分 で読了 • 5,117 語ほぼすべての面でグレードアップ
つい先日 Pixel 7a が発売されて、もう最近のニュースは完全に 7a で持ちきりですが、ここでずっと書きたいと思っていた Pixel 7 の使用レビューを書いていきます。
ちなみに Pixel 7 へは去年の11月末に iPhone 6s から乗り換え、ほぼ半年使用していることになります。
“サブスマホ” なんてものも持っていないので、使っているのはほぼ Pixel 7 のみです。
(たまに iOS 環境で動作確認をしたいときに iPhone 6s を立ち上げることはありますが、本当に稀なので無視します。)
もちろんスポンサーも付いていません。
よって、純粋な使用レビューが書けると思います。
以前使用していた iPhone 6s は2015年9月発売で、今の Pixel 7 は2022年10月発売と、両機種にはざっくり7年間のブランクがあります。
7年といえば、ひらがなすら怪しい小学1年生が意味難解な言葉を操り回す中学2年生 (※個人差があります) になるようなものですから、ほぼあらゆる面でアップグレードされています。
一方で、退化した面も何点かあります。
この記事ではそのあたりを紹介していきます。
やはり最初に気づくのがその性能の高さです。
iPhone 6s の場合アプリ起動に数秒待たされるのは当たり前でしたが、Pixel 7 は待ち時間がほぼありません。
逆に待たされると、何かエラーでも起きているのかと不安になるレベルです。
特に驚いたのが Google マップの起動の速さ。
iPhone 6s は地図が表示されるのに5秒ほど待たされるのが常でしたが、Pixel 7 なら一瞬で表示されます。
また、これはどちらかというと OS との相性の問題のようですが、Google Classroom の起動も速くなりました。
iPhone 6s のときは起動に10秒くらい待たされるのもザラで、あまりの遅さにわざわざウェブ版を使うほどでした。
そして、これも OS の構造の違いな気がしますが、OS の起動もかなり速くなりました。
手元で測ってみたところ、iPhone 6s は電源ボタンを押してからパスコード入力画面が表示されるまでに約25秒かかった一方、Pixel 7 は約10秒と半分以下でした。
僕の生活では、スマホの電源を切らなければならない場面が多いので、起動が速いのは地味に助かります。
「起動までに10秒」と書きましたが、起動画面のアニメーションにより体感ではより速く感じられます。
個人的にこのアニメーションが結構好きです。
※ iPhone 6s で Pixel 7 の画面を直撮りしたので色がおかしくなっています。
僕が iPhone 6s に抱いていた最大の不満、バッテリーもかなり改善されました。
iPhone 6s は新品状態でもなんとか1日持つ感じでしたが、数年間の使用によりバッテリーもへたってきて、最終的には2時間持つか持たないかの状態になりました。
Pixel 7 もバッテリーの持ちは微妙ですが、それでも1日は余裕で持ちます。
僕は1日にせいぜい1時間程度しか使わないので、3日持つこともあります。
と言っても、最新の iPhone に比べるとバッテリーの持ちは悪いです。
まぁ、基本的に家に帰れば充電できますし、ケーブルを挿すのが面倒であれば無線充電を使えば良いわけなので、バッテリーは1日持てば十分だと思います。
Pixel には最大72時間バッテリーを実現できる「スーパーバッテリーセーバー」機能があるので、非常時にも安心です。
Pixel は、最近のハイエンドスマホと同じく OLED (有機 EL) ディスプレイを搭載しています。 (OLED と有機 EL は厳密には違いますが、ここではわかりやすさを優先し同じものとして扱っています。)
iPhone 6s も Retina ディスプレイを搭載しており十分綺麗だと思っていたのですが、Pixel 7 はそれを上回る美しさです。
特にダークモードのときは、まるで文字が浮いているかのように見えます。
ウェブサイトを閲覧していても、今までより黒い文字がくっきりし読みやすくなったように思えます。
また、Pixel 7 は最大90Hzのリフレッシュレートに対応しています。設定で60Hzに固定することも可能ですが、その差は歴然で、90Hzに一度慣れると60Hzにはなかなか戻れません。
OLED なので、常時表示ディスプレイにも対応しています。
時刻や現在の天気などをスリープ中も画面に表示してくれるので、卓上時計としても活用できます。
Pixel といえばやはりカメラ。
特に夜間撮影と望遠撮影は iPhone 6s では諦めていましたが、Pixel 7 なら問題なく撮影でき驚かされました。
夜間撮影は肉眼よりも明るく捉えてくれますし、Pixel 7 は望遠レンズを搭載していないにも拘わらず、5000万画素の高画素レンズと Google お得意の AI 画像補正の合わせ技で、デジタルズームにしてはかなりきれいに撮れます。
また手ブレ補正が優秀で、相当激しく振らない限りブレブレの写真にはなりません。多少ブレたとしても、ボケ補正機能であとから補正できます。
Pixel 7 にしてからカメラの性能不足で撮影失敗した写真は、半年間使っていて数枚あるかないかです。
と、文章で説明するよりも実物を見たほうがわかりやすいと思うので作例を用意しました。
以下の画像は、圧縮と WebP への変換以外は一切加工していません。
まずは夜間撮影からです。
厳密には、普通の夜間モードではなく「星空モード」という星空撮影に特化した機能で撮影したものです。
4分間スマホを静止させなければならないので気軽に使用できるものではないですが、このような幻想的な写真を撮影できます。
この日は曇りで星は見えませんでしたが、雲の輪郭がはっきりと写っていることが見て取れます。
続いて望遠撮影です。
先述したように、Pixel 7 は Pixel 7 Pro と異なり望遠レンズを搭載していないので、基本デジタルズームです。
しかし、AI による画像補正によってくっきりと仕上げています。
画像補正の効果がわかりやすいように、2倍以上の写真に関しては単純に拡大処理したものと Pixel で撮影したものの両方を掲載しています。
上: 単純に拡大したもの 下: Pixel 7 で撮影したもの の順になっています。
※撮影位置がズレているのは大目に見ていただけると幸いです。
1倍
2倍
4倍
8倍
1倍
2倍
4倍
8倍
Pixel で撮影したものは、細かい文字などが単純拡大に比べて潰れていないことがわかります。
さすがに8倍になるとノイズが目立ちますが、SNS にアップせず、あくまでも自分の記録用としてであれば十分実用的な画質です。
もちろん、望遠撮影を日常的にするのであれば、専用の望遠レンズを搭載した Pixel 7 Pro が良いです。
こちらは最大30倍のズームに対応しています。
また、カメラはスリープボタン二度押しで起動できるのですが、これが非常に便利。
撮りたいと思った瞬間にカメラを起動できます。
カメラ起動中はシャッターボタンとして機能する音量ボタンがスリープボタンの隣についているので、スリープボタン二度押し→指を横にスライド→音量ボタンを押すというスムーズな流れで撮影できます。
「消しゴムマジックで消してやるのさ!」のセリフで知名度が一気に上がった消しゴムマジックですが、宣伝のように完全に人を消し去るのは難しいです。屋外であれば影などが残ってしまいます。
消しゴムマジックでは、自分で範囲を選択して消すこともできますが、場合によっては Google フォトが消す物体を提案してくれることがあります。
前者の場合は仕上がりがイマイチなこともありますが、後者の場合は比較的きれいに消える印象です。
消しゴムマジックの何げに便利な使い方としては、「スクリーンショットに写り込んだ不要なものを消す」というのがあります。
スクリーンショットは背景が単純なことが多いので、風景写真に比べてかなり自然に消えます。
また、Pixel 7 の新機能、ボケ補正もかなり使えます。
例えば文書を撮影した写真にボケ補正をかけると、文字の輪郭がくっきりとして読みやすくなるのでおすすめです。
その他にも空の色を変えられたり、モードを選ぶだけで簡単にそれっぽく仕上げてくれたりする加工機能があるのですが、全て書くと長くなるので割愛します。
Pixel 7 のマイクの感度がよく、マイクに口を近づければほとんど周りに聞こえないような声量でも聞き取ってくれるので、Pixel 7 にしてから音声アシスタントの使用頻度が上がりました。
ライトやサイレントモードの切り替え、タイマーのセットはアシスタントに任せてしまうことが多いです。
また、「この曲なに?」と聞くと周囲で流れている曲を教えてくれる機能も重宝しています。
ちなみに、ロック画面に周囲で流れている曲を表示させることもできます。
履歴も残してくれるので、「あの時流れていた曲は何だったんだ?」というときにも確認できます。
ロック画面に曲名を表示する処理はすべてオンデバイスで行われているとのことで、Tensor の威力を感じます。
と、ここまで Pixel 7 をべた褒めしてきましたが、何点かは iPhone 6s に軍配が上がるものがあります。
それは「手軽さ」と「オーディオ」です。
iPhone 6s と比べると Pixel 7 は重量化しており、長時間手持ちで動画撮影をしていると肩が痛くなります。
また、片手操作も厳しいです。
そして、スピーカーの音質も iPhone 6s の方が低音が響いて良く感じます。
もちろん、音の立体感で言ったらステレオの Pixel 7 のほうが良いのですが、低音がスカスカなので迫力に欠ける印象です。
と言っても、聞くに耐えないような酷い音質ではなく、多くの人にとっての及第点は十分超えていますし、ワイヤレスイヤホン・スピーカーを普段から使っていて内蔵スピーカーはほぼ使わない人には無関係なので、そこまで痛手ではないです。
ヘビーユーザーは内蔵スピーカーは使わないので良いスピーカーを搭載するだけ無駄、という Google の思惑もあるのかもしれません。
それにしても、iPhone 6s はモノラルとは考えられないほどの高音質だと改めて感じさせられました。
Pixel 7 の画面内指紋認証はかなり改善されており、普段使う分にはそこまで困りません。
万が一反応しなくても顔認証が使えるので、ロック解除は前モデルに比べてかなり快適になりました。
(ただし、マスクを着用していたり周囲が暗かったりすると顔認証は反応しません。)
しかし、やはりホームボタンに指紋センサーを搭載した iPhone 6s に比べると速度や精度の面で劣ります。
「画面内指紋認証はこういうものだ」という割り切りもある程度は必要です。
Android 全般が Google に支配されているのですが、Pixel の場合はそれが更に強いです。
ホーム画面に置かれた Google 検索バーは、ランチャーアプリを変えない限り消せませんし、ブラウザーも Edge や Firefox は Tensor に最適化されていないのかラグい時があり、Chrome を使わざるを得ません。
もちろん、僕のように「メールは Gmail、データは全部 Google Drive、写真も Google Photo にまるごと同期している」、「iPhone でも純正アプリは消して Google 系のアプリを使っている」という人にとってはかなり使いやすいです。
スマホ自体が Google アカウントと紐付けられるので、スマホのあらゆることが Google アカウント上で管理できます。
Google のサービスは Apple のサービスとは異なり、ブラウザーさえあればほぼすべての機能が使えるので、PC が Windows だろうが Mac だろうが Linux だろうが等しく便利に使えます。
スマホで撮影した写真は PC のブラウザーで Google フォトを開けば確認できますし、スマホをなくしたときは Google で「スマホどこ」と検索すれば遠隔で位置情報を確認したり、ロックしたりできます。
しかし、普段 Google のサービスをあまり使っていない人にとっては移行の手間が発生したりと若干不便かもしれません。
また、すべて Google に統一されることに抵抗を感じる人もいるかと思います。
(必ずしも Google 系サービスを使わなければならないわけではないのですが、至るところで Google 系サービスを推してくるので Google にまとめてしまったほうが楽です。)
実際、僕も以前は Firefox を好んで使っていたのですが、最近は Pixel との同期の都合上、Chrome を使うことが増えています。
(Android 版 Firefox、頑張ってくれ…!)
よって、「Apple One を契約していて Apple のサービスに没頭しています」なんて人には Pixel はあまりおすすめできないです。
逆に、現在 Android スマホを使っていたり、iPhone で Google 系アプリばかり使っている人には Pixel はおすすめです。
先日発売された Pixel 7a はもう投げ売りが始まっているらしいので、現在のスマホの処理能力やカメラに不満を抱いている人はぜひ検討してみてください。
半年前の僕のように、スマホの常識が変わるはずです。
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